お先にいただきました。大皿料理

 昔、お母さんたちが台所に集まって、たくさんのおしゃべりをしながら、たくさんの人数分の料理を楽しく作っていました。 

 アツアツの煮物、大きな卵焼き、山盛りのきんぴらゴボウに、じっくり煮込んだおいしそうなヒジキ。そうそう、大根や人参などの野菜がたっぷり入ってよく味の染みた煮しめもお鍋一杯に作ったりしたものです。

 

 旦那の悪口や子供の話、舅への愚痴や最近始めた散歩の事など、包丁の手を休めることもなく、ワイワイ言いながら、そして時々大笑いをしながら、台所をおいしそうな匂いで一杯にしていったのです。

 時々は男どもが「うまそうだな〜」とのぞきに来たり、子供たちがその回りを走りながら、箸を置いたり茶碗の準備をしながら今か今かと待っている。

 

 そんな風景がよくありました。

 

 そうして大きなテーブルにのせられた大きな皿に一杯につがれた、湯気の立ったおいしそうな田舎料理の数々。

 それらを囲うようにして、大人や子供が肩を寄せ合いながら席に着いて「いただきま〜す」を言って一斉に大皿料理に箸を伸ばす。

 

 こんな風景の再現が少しでもできたら・・・

 

 そんな思いで、南国鹿児島の海と桜島がきれいに見える事務所で、月に1回、お昼時間にみんなで大皿料理を作って、ワイワイ言いながら食べる

 それが「お先に、いただきました」の始まりでした。