先代、先々代からの言い伝えられたお話
その⑦
南国鹿児島で味噌醤油を造り始めてもう100年以上。
普段から色々な「食」にまつわる話を見聞きします。
今回はそんな中から一部をご紹介します。
「そば屋にとっての“美味しい”!」
昔、そば屋さんで働いていた人の話です。私たちの周りには “一軒だけ”で営んでいるそば屋さんもあれば、地元や全国でチェーン展開しているそば屋も多くあります。
規模の大小を問わず、普通のそば屋さんでは“最後の一滴”までつゆを飲んでもらいたい、という思いでそばを作ります。
よく言いますよね!
そば職人は、お客さんが帰った後、残りのドンブリを見て「つゆや麺が残っていないかチェックしている」というお話を(これはラーメン屋さんでも同じですね)。
それは、「最後まで全部つゆも麺も食べてもらいたい」そして「おいしかった!」と言ってもらいたい、とういう店主の考えです。
ところが一方であるそばチェーンの社長さんの話によれば、それとは全く逆の考えで“味作り”をしているそうです。
「おいしい!」は、最初の一口目を食べた時に感じてもらえればいい、という考えです。つゆが半分残っていようが、麺が残っていようが、それでもいいそうです。
“最初の一口目”が印象に残れば次回も来てもらえるという考えで、それに合わせて味を作っているそうです。
全部食べて「おいしい!」、最初の一口を食べて「おいしい」。似ているようで、味の作り方は全く対照的です。
どちらが良いとか悪いとかではなく、それぞれの店の特徴やお客さんが何を求めて店にきているのか、に合わせて味を作っているようです。
鹿児島のあるラーメン屋さんに初めて行って一口食べた時・・・「このスープ、お湯じゃない?」という位うす―い味。
なんだこれ?と思いながらも結局麺もスープも完食。あまりにも薄い味付けなので「明日もこようかな〜」という気分に。
みなさんの周りにも、いろいろな食べ物屋さんがあると思います。今度食事に行かれたとき、「この味はどちらのタイプかな?」という視点で食事をされたら、おもしろいと思います。