先代、先々代からの言い伝えられたお話

シリーズ⑥

なぜ具だくさんの豚汁には「麦味噌」が合うのか?

大根、人参、ごぼう、豚肉などなど豚汁には具がたくさん!
特に寒い日に、アツアツの豚汁はたまらないですよね

一年中温暖な鹿児島では昔から海で採れた新鮮な魚介類や、豚肉や鶏肉などのお肉、その他にも野菜をたっぷり入れた「具だくさんのみそ汁」がとても好まれてきました。

その際、具材の“うま味”の引き立て役としてこの地ではまだ若い麹でプーンと香り立つ「短期熟成の麦味噌」が常に好まれていました。

“味噌造り”、これに欠かせないのが麹(こうじ)。

一般に日本全国の味噌造りのための麹はほぼ48時間かけて作られて、俗に“3日麹”といわれているもの。これで作られるお味噌は長い時間かけて蔵で寝かせて出来上がり、味の深みが濃い特徴があります。

かねよの麹はそれらの発想とは真逆です。

つまり鶏や豚、さらに魚などの豊富な食材に恵まれた鹿児島に合わせて育ったお味噌の麹は、それら豊富な具材の生臭さを打ち消すためにプーンと香り立つ育ち盛りで勢いのある“若い麹”でなければなりません。仕込み温度を一般の麹よりも高くして、一気に24時間で作る“2日麹”です。

一気に造り上げるからこそ失敗が許されず一発勝負で職人の経験がいる、とても難しい麹造りなのです。

さらに “麦”由来のデンプン質の量が一般のお味噌と比べて4倍も多く、デンプン質からくる「甘み」と具材から出る「うま味」がよく絡み合い、とてもおいしい豚汁が出来上がるのです。

さらにさらに、通常長く寝かせれば寝かせるほどよいといわれるお味噌ですが、かねよの味噌は短期熟成で約1ヶ月で仕上げます。そのため口に残る苦みや酸味が少なく、これらも具だくさん豚汁に合う理由の一つと考えられます。

今夜はいつもよりもう一品具材を入れたお味噌汁で、ぜひ美味しい夕食を楽しんでみてください。